本プロジェクトは、アンリ・ベクレルがんセンターと私の大学の情報技術（IT）部門による共同研究で、私はチームの一員として前立腺がんの177Lu-PSMA治療における患者別ドシメトリを実現する「SIMPLE-DOSE」プロジェクトに従事しました。
機関名
期間
2023.09 - 2024.01
分野
がん研究
/// 放射性核種治療では、治療効果と毒性のバランスを取る上で骨髄線量の推定が極めて重要です。本プロジェクトは、その前段に位置するCT上での骨髄セグメンテーションを自動化し、後段の線量計算を一貫性・拡張性のある、かつ省力的なプロセスへと導くことを目的としました。データ取り扱い、臨床的前提、評価基準については臨床側と密に整合を取り、実運用に沿う形で設計。再現性・ドキュメント整備・引き継ぎ容易性を重視して進めました。
/// nnU-Netを基盤としたCTセグメンテーション・パイプラインを構築し、データセット整備、前処理、臨床側の指針に沿ったアノテーションの調整を実施しました。セグメンテーションの一般的手法に基づく学習・検証を行い、実験管理とバッチ推論用のユーティリティも整備。出力の安定化に向けた品質チェックや後処理を組み込み、線量計算工程への展開や臨床評価に進めやすいようドキュメントと引き継ぎ資料を作成しました。
/// 主な課題は、装置や撮影条件によるCTプロトコルの不均一性、骨髄構造のラベル不足、そして臨床側へ引き渡し可能な堅牢かつ簡潔なパイプライン設計でした。加えて、プライバシー／コンプライアンス要件の順守、重い計算資源に依存しない再現性の確保も重要な論点でした。
/// 骨髄セグメンテーションの再現可能なベースラインをドキュメントとスクリプト付きで提供し、ドシメトリ前段の作業を標準化・省力化しました。臨床側の期待と整合した設計により、線量計算ワークフローとの連携や、臨床パートナーとの以後の検証に向けた土台を築きました。
